「ハンドルブルブル」と聞いてピンとくる方は、1度はジムニーのステアリングジャダー・シミー現象に悩まされたのではないでしょうか?
歴代ジムニーの持病(特にJB23は重症)とも言われるこの症状は中々厄介で事故を招く恐れもある危険な現象です。
そんなジムニーのジャダー・シミーが発生した時の原因と対策をまとめました。今現在ジャダー・シミーに悩まされている方はぜひともお役立てください。
★2022年2月 一部更新
【ジャダー・シミーとは】
ジャダー・シミー現象とは走行中にステアリング(ハンドル)とタイヤに「異常な振動」が発生している状態を指します。具体的にはハンドルが持っていられないぐらいにブルブル震えて、タイヤも同じように左右に大きく振動します。
ジャダー・シミーが発生しやすくなる条件は、大体50km/hあたりから80km/hの高い速度域で路面のギャップを通過した際に荷重が抜けてしまうことをきっかけに発生します。
まだ経験したことがない方には想像しづらいかもしれませんが、症状のひどいジムニーのジャダー・シミー現象ではハンドルとタイヤの振動だけでは収まらず、ボディまで振動し始めます。尋常ではない振動なので最初は本当に恐怖するほどです。
海外のジムニー乗りの間でも問題とされていて、デスウォブル(Death Wobble)と呼ばれています。直訳すると「死のグラつき」と言われるぐらい恐れられている症状なのです。
運転に慣れていない方なら事故が発生してもおかしくないような状態になるので、下の項目にある「発生時の応急的な対処方法」を確認してみて下さい。
JA11よりJB23で起こりやすい
ジムニー業界では誰もが知るところですが、ステアリングジャダー・シミー現象はJA11よりもJB23で起こりやすいです。リフトアップ車だけでなく、まったくのノーマル車でも発生します。
JA11のリーフサスペンション機構に比べると、ジムニーJB23のコイルサスペンション機構はジョイント・ブッシュ・アームが多く、経年劣化やリフトアップによりガタが出やすい構造になっています。
それがアライメントが保持できない原因となりジャダー・シミー現象へと繋がっていきます。
こんな風になる
文章で伝えるよりも実際にジムニー(JB23)で、ステアリングジャダー・シミー現象が発生している状態の動画を見てもらう方がわかりやすいと思いますので貼り付けておきます。
タイヤがすごいことになっています。
車内ではハンドルがブルブルと震えています。
発生時の応急的な対処方法
ジムニーのジャダー・シミー現象が発生したときに応急的に何をすれば良いかをまとめました。
対処方法の中には相応の運転技術が必要なものもありますので、状況に応じて出来るだけ安全を優先して対処してください。
- 減速・停止
⇒確実に症状を収めるにはこれ以外ありません。もっとも安全でおすすめです。路側帯などに車を止めましょう。 - 加速・アクセルオン
⇒速度域を上げると症状が収まる場合があります。 - ブレーキを瞬間的に踏む
⇒カクッと瞬間的にブレーキを踏むと症状が収まる場合があります。 - ステアリング(ハンドル)を瞬間的に切る
⇒左右どちらかに瞬間的にハンドルを切ると症状が収まる場合があります。 - 【予防】ステアリングにテンションをかけておく
⇒蛇行運転の様に左右にステアリングを当てておくことで、タイヤに対して常にテンションがかかりジャダー・シミーが発生しにくくなります。 - 【予防】4駆で走行する ※直進時のみ
⇒フロントタイヤにも駆動が掛かることでジャダーが発生しにくくなります。交差点のような曲がり角ではタイトコーナーブレーキング現象が発生するため直進時のみの使用に限られます。
また、定期的に4駆走行をすることでハブ周りのグリスが循環し、劣化を遅らせる効果も望めます。
【ジャダー・シミーの原因】
ジムニーのステアリングジャダー・シミー現象が発生する原因と考えられるものを下にズラッと並べてみました。
これまで4×4エスポワールが実際に経験してきた中で、やはりジムニーJB23でステアリングジャダー・シミー現象が圧倒的に多いです。
発生する原因は1つではないこともあり、複数の原因が関連して発生している場合もありました。まずは自分でも確認できる項目から順にチェックしていきましょう。
タイヤ・ホイール関係
- タイヤの空気圧の過不足
- タイヤの残り溝の減少(片減り・偏摩耗など)
- タイヤ銘柄・サイズの変更
- ホイールバランスの異常
- ホイールアライメントの異常
- ホイールスペーサー等によるワイドトレッド化
サスペンション・ステアリング系統
- ★要点検キングピンベアリングの摩耗・ガタ
- ハブベアリングの摩耗・ガタ
- ★要点検ナックルシールの摩耗・ガタ
- ステアリングリンク部・ギアボックスのガタ・緩み
- ★社外品要点検【JB23】ラテラルロッドエンドブッシュの劣化・緩み
- 【JB23】電動パワーステアリングの不具合(トルクセンサーなど)
- 【JB23】リーディングアームブッシュの劣化・緩み
リフトアップ時の補正不足・負担増
- キャスター角度の補正不良
- プロペラシャフトの角度補正不良
- 【JB23】ラテラルロッドの長さ不足及び取付角度の補正不良
【ジャダー・シミーの対策・修理】
続いてジムニーのステアリングジャダー・シミー現象が発生したときの対策法をまとめました。面倒ではありますが、ひとつずつ自分でできる項目から改善していきましょう。
根本的に改善されていなければ一時的に症状は治まっても、走行を重ねていくと再びジャダー・シミーが再発するケースも多々あります。
一向に症状が改善しないという場合は最寄りのジムニー専門ショップに相談してみることをおすすめします。ジムニー修理の経験が少ない整備工場によっては原因を突き止めるまで時間がかかり、余計な出費まで必要となる場合もあります。
タイヤ・ホイール関係
- タイヤの空気圧を低くする
- タイヤの交換・またはローテション
- タイヤを別銘柄・別サイズに変更
- ホイールバランス再調整
- ホイールアライメント(トー角)の再調整
- ホイールスペーサーの取り外し
サスペンション・ステアリング系統
- ★推奨キングピンベアリングの交換
- ホイールハブベアリングの交換
- ★推奨ナックルシールの交換
- ステアリングリンク部の交換、ギアボックスの遊び調整(少なく)・交換
- 【JB23】電動パワステのリセット、トルクセンサーの調整
- 【JB23】ラテラルロッドエンドブッシュの交換
- 【JB23】リーディングアームブッシュの交換
リフトアップ時の補正
- トランスファーアップマウントでプロペラシャフトの角度補正
- 【JB23】リーディングアーム・キャスターブッシュ・リーディングアームダウンブラケットなどでのキャスター角補正
- 【JB23】ラテラルロッドダウンブラケットまたはアップブラケットでのラテラルロッド取付角度の補正
- 【JB23】調整式ラテラルロッドで適正な長さに調整
★各補正パーツはJB23サスペンションからチェックできます。
ジャダー・シミー対策専用パーツ
- 工藤自動車製 ジャダーストップ®フルキット
- ジムニーJB23/33/43用 工藤自動車製 正規品
- ジャダー・シミー対策の定番パーツのフルキット(写真付きの詳しい説明書も付属)
- ノーマル車・リフトアップ車などすべてに対応
- ジャダーストップリングでナックル自体にプリロード(重み)をかけて、安定感のあるステアリングにします。
- ジャダーストップナットはタイロッドエンドとナックル双方の締結を強くすることで剛性を向上させ、ジャダーを防ぎます。
- 「ジャダーストップ」は有限会社 工藤自動車の登録商標です。(商願2022-143591)
⇒工藤自動車製 ジャダーストップ®フルキット【4×4エスポワール オンラインショップ】
¥13,000(税別)
- ランチョ ステアリングダンパー&取り付けブラケットセット
- ジムニーSJ30/JA71/JA11/JA12/JA22/JB23用
- ステアリングのブレを抑制
- オフロード走行時のキックバックやタイヤの異常摩耗を減らす
ショップ:Kプロダクツ
【まとめ】
今回、ジムニーのステアリングジャダー・シミー現象について原因と対策などを紹介してきました。
これだけを改善すれば間違いなく問題を解消できるという対策方法がないため、修理にかかる費用も見当がつかず厄介な症状です。特にジムニーJB23をリフトアップしている場合は症状が発生しやすく、ステアリングジャダー・シミー現象に備えた運転・点検が必要です。
長くジムニーと付き合っていくと、今回のようにサスペンションの構造など普段触れないようなちょっとマニアックな知識も自然と付いてきます。めげずにより良いジムニーライフをお送り下さい!
ジムニー関連
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4x4エスポワール
ジムニー専門店として20年以上続く4×4エスポワールです!
各種ジムニーパーツはオンラインショップからお買い求めいただけます。
オリジナルパーツの製作、業販なども承っております。
今まで製作してきたジムニーはデモカーからご覧になれます。
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