ジムニーのウインチ選びで注意すべきポイントや車検のこと

ジムニーのウインチ選びで注意すべきポイントや車検のこと

ジムニーのオフロード性能をさらに引き出し、ハードな地形でも安心して走行できる装備のひとつ。それが「ウインチ」です。スタックからの脱出や他車の救助など、オフロード走行の幅を大きく広げてくれます。

しかし、ウインチは専門性の高いツール。選び方や装着方法、運用時の注意点が分かりにくいのも事実です。間違った選定や取り付けをすれば、十分な性能を発揮できず、車両に負担をかける可能性もあります。

そこで本記事では、ジムニーに適したウインチの選び方から装着時の注意点、運用のポイントまでを詳しく解説。ウインチの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

★2024年2月 「リアにもウインチ」追加
★2024年11月 一部更新

目次

●ウインチの選定方法

まずは容量選び

メーカーは2強?

●ウインチの基本的な知識

ウインチマウントは頑丈に固定

リモコンは無線と有線

ワイヤーの長さと種類

ウインチに必要なツール類

●ウインチの注意点と運用方法

注意ポイント箇条書き

バッテリーの強化

リアにウインチを装備

ウインチの応用ワザ

●ウインチ装着車の車検について

車検は通る?

●ウインチを装備してみよう!


ウインチの選定方法

ウインチには様々な種類が存在し、どのような使用を想定しているのか、あらかじめイメージすることが大切です。

用途に沿ったウインチを選ぶことで、ジムニーのオフロード性能をより引き出すことができます。

まずは容量選び

ウインチ選びを始めるにあたってまず決めなければいけないのは容量(引っ張る力)です。判断方法はポンド数(lb)を基準とします。

例えば4500lbの容量のウインチはkgに換算すると2045kg(約2トン)引っ張る力があることになります。

容量が大きいほど牽引力は強くなりますが、消費電力と重量も増すため、用途に合わせた選び方が重要です。

万人向けのライトユース(4500lb~6000lb)

4500lb~6000lbの容量のウインチです。

コンパクトで重量も10kg程度なのでジムニーにはベストサイズといえます。

引っ張る力に関しては自車がスタックしたときの脱出程度なら問題ありませんが、駆動を掛けて補助しながら巻き取るような使い方が良いでしょう。

高負荷を掛ける場合には、ダブルライン(滑車を使い、ウインチの牽引力を2倍にする方法)で使用しウインチに負荷を掛けないようにすることが必要です。

難所向きハードユース(9000lb)

9000lb前後の大容量ウインチです。

ランクルなどのフルサイズ4WD車向けで大型で重量も30kg近くなり、ジムニーにはオーバースペックともいえるサイズになります。

レスキュー時には圧倒的に頼れる存在になるものの、フロントヘビーとなるためドライブシャフトが破損する確率も高くなります。

強力であるがゆえバッテリーの強化が必要になったり、ワイヤーの巻き方が悪い(乱巻き)とウインチ本体を壊してしまうぐらい強力です。ここまでの容量になると付ける人を選ぶウインチといえるでしょう。

XDC RVウインチ【WARN】
WARN XDC(9000lb相当〈最大牽引力 4310kg〉)

画像:XDC RVウインチ – Trail

メーカーは2強?

容量の選定が決まったら次はどのメーカーにするか決めなければいけません。

価格を重視するか、信頼性&ブランド製を重視するかのどちらかを選択することになると思います。

よく比較されるのは以下の2メーカーです。

WARN(ウォーン)
世界的に高いシェアを誇るアメリカ発のウインチの有名メーカー。機種も豊富でウインチの最先端をリードしている。価格が高い点がネック。
シーエルリンク
日本発のメーカー。WARNに比べるとウインチの機種は少ないが断然リーズナブルなことから装着率は高い。

純正ウインチは存在する?

本格クロカン4WD車と呼ばれるジムニーなら純正ウインチが存在するのでは?と考えられた方もいるかもしれません。

たしかにランクルなどの大型4WD車には純正ウインチを搭載していた車両もあったのでジムニーに搭載されていても何ら不思議なことはありません。

しかし残念ながらジムニーに純正ウインチは存在しません。もちろん新車のオプションにもウインチは存在しないので基本的に社外製ウインチを搭載することが一般的です。

ジムニーシエラJB74の純正バンパー内にウインチを収納
純正ウインチは存在しないが純正バンパー内にウインチを収めることはできる(シエラJB74)

ウインチ装備の基本的な知識

ジムニーのウインチを安全かつ効率的に活用するには、マウント、リモコン、ワイヤーの選択が重要です。ジムニーに使用する場合、適合するマウントが少ないため、ワンオフ品の製作も検討する必要があります。

また、操作性向上には無線と有線リモコンの併用が効果的。ワイヤーは金属とファイバーの2種類があり、用途や状況に応じて選択が必要です。バッテリー強化やリアウインチの追加も考慮してみましょう。

ウインチマウントは頑丈に固定

高負荷がかかるウインチには、それに耐えうるマウント(土台)が必須です。

強度の低いマウントでは巻き取りの途中でウインチが外れ、事故につながる恐れがあります。安全のためにも頑丈なマウントを選ぶことが重要です。

ジムニー用の既製ウインチマウントは種類が少なく、適合するウインチも限られています。そのため、ウインチの種類によっては既製品を加工したり、ワンオフで製作したりするケースも珍しくありません。

ジムニーJB64に強度を重視したウインチマウントをワンオフ製作(4x4エスポワール デモカー)
強度を重視したウインチマウントをワンオフ製作

リモコンは無線と有線

操作性を考えた時にリモコンは重要なポイントです。

断然、無線タイプが使いやすいものの受信機のトラブルによって使用できなくなることもあるため、有線リモコンと併用して使えると便利です。

また、有線リモコンしかないウインチであっても後付けで無線リモコン化することも可能なほか、WARN製ウインチの中にはハーネスキット(ハブワイヤレスレシーバー103940 – WARN公式)を装着することで、スマホとウインチをBluetooth接続して操作ができる機種もあります。

ハブワイヤレスレシーバー103940 - WARN

画像:ハブワイヤレスレシーバー103940 – WARN公式

ワイヤーの長さと種類

ウインチのワイヤーの長さは、容量に比例して長くなります。

機種にもよりますが、4500lbクラスで約15m、9000lbクラスで40m弱が一般的です。

ワイヤーは長い方が使い勝手が良いため、容量の小さいウインチでは、長さを稼ぐために細いワイヤーに巻き直すことがあります。

ワイヤーの種類は、金属ワイヤーとファイバーロープの2種類に分けられます。どちらも一長一短です。ハードユースには金属ワイヤー、扱いやすさを重視する場合はファイバーロープが優れています。以下に、両者の違いをまとめました。

金属ワイヤー

  • メリット

    • 耐摩耗性が高く、岩や木に擦れても破断のリスクが少ない。
    • 紫外線や熱による経年劣化しにくい。
  • デメリット

    • 重量があるため、軽量で非力なジムニーには負担になる。
    • フロント周りの重量増に繋がる。
    • 破断時の危険性が高い。
    • ワイヤーのささくれやねじれなど、取り扱いに注意が必要。

ウインチ用の金属ワイヤー

画像:スチール製ウインチケーブル – WARN公式l

ファイバーロープ

  • メリット
    • 金属ワイヤーと同等の耐荷重を持ちながら、重量は半分以下に抑えられる
    • 軽量なため、破断時の安全性が比較的高い
    • 柔軟性が高く、ロープワーク(結び目を作る用途)にも活用できるため汎用性が高い
  • デメリット
    • 岩や木に擦れた際の耐摩耗性が劣る
    • ウインチの発熱に対する耐熱性が低い
    • 紫外線などの影響で経年劣化しやすい
    • 金属ワイヤーに比べて切れやすく、ヘビーユースには向いていないとされる(近年、技術向上によりヘビーユースにも耐えるものも登場している)

ウインチ用のファイバーロープ(シンセティックロープ)

画像:思いつくまま四方山話: シンセティックロープ PART 3

ウインチに必要なツール類

ウインチの効果を最大限に引き出すために、装備しておくべきツールがあります。

ジムニーのわずかな収納力を考えると、装備は自身の用途に応じて選ぶことが大切です。しかし、さまざまなツールとウインチを組み合わせることで、脱出までの時間を短縮できたり、牽引時の負荷を軽減したりすることができます。

ただし、ツールを効果的に活用するためには、ウインチを使用する現場で経験を積むことが最も重要です。

以下はその一例です。

  • 牽引ロープ
  • 予備ワイヤー
  • 滑車(ダブルライン用)
  • S字フック
  • 車輪どめ
  • サンドラダー
  • ハンドウインチ(補助 or アンカー用など)

ウインチ以外に必要となる装備

画像: 災害時 全天候型物資輸送訓練ジムニーチーム 上州田中商店


ウインチの注意点と運用方法

ウインチをジムニーに装着することで、車両の牽引や障害物の移動も可能になる便利なツールですが、正しい使い方と安全面の対策が必要です。

乱巻きや破断を防ぐために、ワイヤーの巻取時の注意や負荷管理、牽引方向の確認など、多くのポイントに配慮することが求められます。また、倒木の移動や災害時の応急措置にも応用できるため、あらゆる場面でウインチは活躍します。

注意ポイント箇条書き

ウインチは何かと注意しなければいけないことが多いツールです。

主に気を付けなければならないのは「乱巻き」「破断」「ウインチ本体の保護」「牽引時の車両の取り扱い」です。これらに関することを箇条書きでズラっと並べてみます。

  • ウインチは基本的にヒューズなどの安全装置がないため過度な負荷や長時間動作はしない
  • 熱を持ったりしていないか?巻取時のモーター音に変化がないか等に注意
  • 巻取時はワイヤーと車体が一直線になることが理想。横から引く時は乱巻きに注意
  • 駆動を掛けながら牽引する際(牽引される際も)はウインチの巻取速度に追いつかないようにする
  • 牽引される方向とタイヤの向きは平行が原則
  • 牽引される際はタイヤの向きを固定するためにハンドルロックを有効に使う
  • ワイヤーを弛ませた状態から急激にテンションを掛けない
  • 引っ張る方向が悪いと牽引されるクルマにも無理が掛かりタイヤのビード落ちや足回りが破損することもある
  • フェアリード付近(ワイヤーの出入口)は手が巻き込まれる恐れがあるので作業厳禁
  • ワイヤーを出し切った状態から牽引しない(3巻ほど残しておく)
  • 牽引時には破断の恐れがあることからワイヤー周辺、牽引車両の真後ろには近づかない
  • 牽引時にはワイヤー破断時の被害軽減のために毛布やマット等を被せておく
  • 複数人での牽引作業は声掛けなど意思疎通を行う

バッテリーの強化

短時間のウインチ動作であれば、既存のバッテリーでも問題はありません。

しかし、ウインチを安心して運用するにはバッテリー強化が必須です。ハードユースでは、ウインチの電力消費が大きくエンジンが停止することもあるからです。

対策としては、ディープサイクルバッテリーへの交換が有効です。このバッテリーは放電を繰り返しても耐えることができ、電力消費の大きいウインチにも対応可能です。

また、9000lbクラスの大容量ウインチは消費電力が非常に大きいため、ツインバッテリー化を行う事例もあります。

オプティマバッテリー イエロートップ
代表的なディープサイクルバッテリー「オプティマイエロートップ」

画像:オプティマバッテリーとは|OPTIMA BATTERIES

リアにウインチを装備

ウインチはフロントにだけ装備されるイメージが強いですがリアにも装備することができます。

オフロードではフロントのウインチだけではどうにもならない状況が起こるため、前後に備えておくことであらゆる状況に対応できます。

車体の装着にあたってはスペース的な問題で車体に据え置くよりもポータブル式(脱着式)が主流です。

4×4エスポワールではヒッチメンバーに差し込めるウインチマウントを製作し、リアウインチを装備した事例があります(下画像)。

ジムニーJA11に脱着式リアウインチを製作
リアウインチは脱着式が主流

ウインチの応用ワザ

クルマを引っ張ること以外にも、ウインチにはさまざまな用途があります。

特に活躍するのは、林道で出くわす倒木や落石の処理。ジムニーサイズなら、倒木を少し移動させるだけで通行可能な林道も多く、場所によってはこれがメインの用途となることもあります。

また、転倒などでボディがダメージを受けた車両の復旧にも使えます。損傷部分を応急的に修復し走行を可能にします。

さらに、滅多に使うことはありませんが、重量物を移動させる際にも活用できます。災害時のがれき撤去などでも頼りになってくれます。

ジムニーでウインチによる倒木撤去作業
ウインチによる倒木撤去作業

画像:隼77 – CARTUNE


ウインチ装着車の車検について

ジムニーにウインチを装着することで気になるのが車検のことだと思います。そのまま車検に通るのか疑問に思う方が多いかもしれません。

あらかじめ伝えておきたいのは「ウインチを装着すること自体が違法改造にはならない」ことです。ウインチの車検に関してどういった基準があるのか?公的な機関による通達や販売メーカーによる見解も踏まえて紹介していきます。

車検は通る?

ウインチは車検に通ります。

これにはれっきとした理由があってウインチは指定部品に分類されているからです。

指定部品とは、自動車使用者の嗜好により、追加、変更等をする蓋然性が高く、安全の確保、公害の防止上支障がないものとされている自動車部品として、「自動車部品を装着した場合の構造等変更検査等における取扱いについて(依命通達)」(平成7年11月16日付け運輸省自動車交通局長通達自技第234号・自整第262号)に規定されており、この部品をボルトや接着剤などで装着する場合は、自動車検査証の記載事項の変更手続を行わなくても良いとされています。

参照:よくある質問(FAQ):後付け自動車部品関係|NALTEC 独立行政法人 自動車技術総合機構

※指定部品のルールは継続車検でしか適用されず、新規車検では適用されない点に注意

一部ではウインチ装着について「車両全長から3cm以上はみ出す場合、構造変更が必要」と書かれていることがありますが、これは誤りです。車両全長から3cm以内に収める必要があるのは、指定外部品を装着する場合に限ります。

指定部品については、車両の全長を超えて取り付けても問題ありません。例えば、ルーフキャリアやグリルガードも指定部品に分類されます。

ただし、固定方法に問題があったり保安基準に適合していない場合は指摘されることがあります。しかし、ウインチ装着自体が問題とされることはありません。

詳細については、以下のリンクを参考にしてください。

●指定部品一覧(2ページ目)
参考:「自動車部品を装着した場合の構造等変更検査時等における取扱いについて(依命通達)」の細部取扱いについて | 国土交通省【PDF】

●ウインチの合法性についての見解
参考:ジムニーにウインチを装着したら車検に適合するのか? | シーエルリンク


ウインチを装備してみよう!

メジャーなのにマイナーなウインチについて深く掘り下げてみました。ジムニーに乗っていなくても参考になるような内容もあったかもしれません。

ジムニーのウインチ選びは用途に応じた容量をまず選ぶことが大切です。何よりも重要なのは安全に使いこなすためには知識だけでなく経験を重ねることです。

4×4エスポワールではジムニーにウインチ装着のアドバイス&サポートができます。どの容量のウインチにするか悩まれていたり、マウント方法にお悩みの方はお気軽にご相談下さい!

 


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