普通は壊れることがないパーツでも、ジムニーJA11やJB23で難所系オフロードやクロカンを走ると必ずと言っていいほど壊れてしまうパーツがあります。
そのパーツの代表格がドライブシャフトです。オフロード走行時のジムニーの泣き所と言われ誰もが1度はドライブシャフトの破損を経験するといっても過言ではありません。
今回はジムニーのドライブシャフトについて、どんな時に折れやすいのか?どうやって対策すればいいのか?など取り上げてみたいと思います。
目次 |
ドライブシャフトとは?
デフからタイヤへと駆動を伝えるためのパーツです。「ドラシャ」と略して呼ばれることもあります。
ジムニーの場合はリジッド式サスペンションなのでホーシング内にドライブシャフトが入っています。
真ん中の膨らんでいる部分にデフが入っていて、そこからタイヤへとドライブシャフトが繋がっています。
左右で長さが異なっていて中に入っているドライブシャフト(フロント側)はこんな形をしています。
ドライブシャフトが圧倒的に折れやすいのは圧倒的に折れやすいのはフロント側のドライブシャフトです。
折れやすい理由は2つあって第1がドライブシャフトの細さです。リアには太い26スプラインのドライブシャフトが使用されていて強度があるのに対して、フロントは細い22スプラインが使用されているため強度が劣ります。
もう一つの理由はCVジョイント(等速ジョイントともいう)があるためです。前輪の切れ角に合わせて可動するようになっていて負荷が集中しやすいポイントになります。
- ドライブシャフトの細さ
- リアドライブシャフトは太い26スプラインが使用されており、強度が高いのに対して、フロントドライブシャフトは細い22スプラインが使用されているため、強度が劣る。
- CVジョイント(等速ジョイント)の存在
- フロントドライブシャフトにはCVジョイントがあり、前輪の切れ角に合わせて可動します。負荷が集中し破損しやすいポイントとなります。
これらの要因により、フロントドライブシャフトはリアに比べて折れやすく、特にオフロード走行時には注意が必要です。
どんな時に折れやすい?
ジムニーのドライブシャフトが破損する原因にはさまざまな状況が考えられます。
例えば勢いよくタイヤが空転している状態で地面に着地した場合や、ハンドルのフルロック状態でのしゃくり(前後にもがく)を行うと、ドライブシャフトに大きな負担がかかり折れやすい原因となります。
その他に、ドライブシャフトが折れやすくなる原因としては、大径タイヤやワイトレ化している場合、フロント側にトラクションデバイスを装着している場合、またトランスファーダウンギアを装着している場合です。これらの条件下では、ドライブシャフトに過大な力がかかり、折れるリスクが高まります。
折れるとどうなる?
ドライブシャフトが折れると駆動が伝達できなくなるので2駆状態となり急に前に進まなくなります。
「バキッ」と大きな音を立てて折れることもあれば、いつの間にか折れている時もあります。その場合、スタックしていると勘違いしやすく、すぐにシャフトが折れたと判断するのは難しいでしょう。
折れ方には主に2つのパターンがあります。
- シャフト部分での折れ
- ドライブシャフトの棒部分で折れるパターン。
- CVジョイント部分の破損
- CVジョイントの破損は非常に厄介で、破片が内部で引っかかり、ハンドルが左右どちらかに切れなくなることもある。
折れたときは現地での交換 or 応急処置
もしドライブシャフトが折れた場合の応急処置としては、折れたドライブシャフトやその破片を取り除き、フリーハブを「フリー」に切り替えることで応急的に走行することができます。ただ、この方法は2駆状態となるため場所によっては脱出ができなくなることも考えられます。
こうしたトラブルを避けるために、ジムニーでトライアルやクロカンを楽しむ方の多くは、ドライブシャフトが折れた時に現地で交換できるようにスペアのドライブシャフトを常備しています。
どちらにせよ、オフロード走行時にはウインチやロープで助けてもらうことができる複数台でのグループ走行を強く推奨します。
折らないための対策方法
ジムニーのドライブシャフトはオフロード走行においてウィークポイントとなるため、さまざまな強化対策パーツが用意されています。
基本的なドライブシャフト折れの対策方法は強化ですが、走り方も対策すればトラブルの発生する確率が格段に下がります。
基本的な対策としては、強化されたドライブシャフトを使用することですが、走り方も工夫することで、ドライブシャフトが折れる可能性を大幅に下げることができます。
高額な対策方法もあるため、走行するフィールドや改造内容に応じて、最適なドライブシャフトの対策方法を選ぶことが大切です。自身の使用状況や予算を考慮して、最も効果的な対策を見つけてください。
走行テクニック
走り方次第でドライブシャフトへのダメージは大きく違います。基本的には、アクセルをやみくもに開けず、特にハンドルを切った状態での「急」な操作はドライブシャフトのCVジョイントに大きな負担がかかるため注意が必要です。
また、タイヤが空転状態で地面にドスンと着地すると急にタイヤの回転が止まり、ドライブシャフトのシャフト部分に負担がかかるため、クラッチを切るなどしてドライブシャフトへの負担を軽減するテクニックも有効です。
とはいえ、ドライブシャフトを気遣う余裕がないほどの難所もあります。そのため、走行テクニックでの対策には限界があり、万全を期すならドライブシャフトの強化をすることが必要です。
強化リング
ジムニーのドライブシャフト強化の費用をできるだけ抑えたい場合には、強化リングがおすすめです。価格は約6,000円前後で、純正ドライブシャフトのCVジョイントにはめ込むことで、割れやすいCVジョイント部分をピンポイントで強化することができます。
この方法はドライブシャフト全体が強化されるわけではありませんが、他の強化方法に比べて圧倒的にコストを抑えられる点が大きなメリットです。
画像:モーターファーム
強化ドライブシャフト
ドライブシャフト全体を強くしたいなら強化ドライブシャフトが必要です。高強度の材質を使うことで純正よりも頑丈になっています。
強化リングに比べると価格は跳ね上がり、日本製で3万円~、海外製なら8万円~の価格帯となります。
もし、純正ドライブシャフトを何度も折っている場合、費用はかかりますが、交換の手間や走行不能のリスクを減らせるため、強化ドライブシャフトの導入は検討する価値があるでしょう。
余談ですが、現在はあまり出回ることが無くなったジムニーJA51のドライブシャフトは、少し加工すれば強化品として流用することもできます。
画像:津田レーシング
ドライブシャフト大径化(26スプライン化)
ジムニーのフロントドライブシャフト強化メニューの最上位は、26スプラインへの大径化です。
特に、ジムニーJA11やJB23にエアロッカーやFF化などの強力なトラクションデバイスをフロントに装着する際には必須ともいえるメニューです。
この強化によってシャフトの強度が大幅に向上しますが、費用もかかります。シャフト単体で約8万円、さらに26スプライン用のデフのサイドギアが必要(約2万円)です。
ただし、気を付けてほしいのはドライブシャフトの強度を上げすぎると、デフ側に負担がかかってしまうためバランスを考慮して選択する必要があります。
注意点としてシャフトの強度を上げすぎると、デフ側に負担がかかってしまうため、バランスを考慮して強化することが重要です。
画像:津田レーシング
リアドライブシャフト強化
最後はリアのドライブシャフトの強化です。ジムニーの純正リアドライブシャフトは26スプラインでCV(等速)ジョイントもないため、フロントに比べるとかなり頑丈でそう簡単に折れることはありません。
リアドライブシャフトの強化が必要とされるのは、ロッククローリングやハードクロカンで酷使している場合に限られるでしょう。
画像:津田レーシング
【番外】ホーシングスワップ
ジムニーのドライブシャフト強化の最終手段ともいえるのが、他車種のホーシングをスワップする手法です。一般的ではないため【番外】とはなりますが、特定の用途や競技シーンで取り入れられています。
例えば、ランクル用のホーシングにスワップした場合、ドライブシャフトの径が30スプラインに拡大し大幅に強度を確保することができます。
ホーシングスワップは、特にロッククローリング系の競技マシンレベルで必要とされる場合が多いです。一般的なオフロード走行であればホーシングのスワップは過剰なカスタムと言えます。
まとめ
ジムニーのドライブシャフトについて色々と紹介してきました。クロカンやトライアルなど本格的なオフロードでは必ず関係してくるポイントなので、ぜひ覚えておいてほしい内容です。
4×4エスポワールでは、ジムニーの本格的なオフロード走行に適したカスタマイズが可能です。ドライブシャフトの強化はもちろんのこと、トランスファーダウンギアやトラクションデバイスなど走破力アップに必要となるカスタムについてお悩みでしたら、お気軽にご相談ください!
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