ジムニーにトランスファーダウンギアを装着するメリットと必要性

ジムニーにトランスファーダウンギアを装着するメリットと必要性

ジムニーのアフターパーツの中でも「トランスファーダウンギア」は特殊なパーツのため、本当に必要なのかメリット・デメリットを理解することが重要です。

走る場所やイジり方によっては無くてはならない程のパーツにもなる反面、用途に合わなければ装着しても全く役に立たない可能性もあるパーツです。対象となるジムニーはJA11やJB23はもちろんのこと、現行のジムニーJB64でもトランスファーダウンギアは装着することができます。

ジムニー乗りならいつかは必要になるかもしれないトランスファーダウンギアについて詳しく紹介していきます!

★2024年2月 「タイヤ外径によるギア比の変化」追加

目次

●トランスファーダウンギアとは?

メリット

デメリット

走破性はどれだけ変わる?

●装着する前に知っておこう

JA11には定番のSJ30トランスファー流用

5型が変わり目のジムニーJB23

JB23にJA11用トランスファーをスワップ

タイヤ外径によるギア比の変化

●トランスファーダウンギア比較表

ジムニーJA11用

ジムニーJB23 純正 1型~4型用

ジムニーJB23 純正 5型~10型用

ジムニーJB64用

●必要性はどう判断したらいい?

 

トランスファーダウンギアとは?

トランスファーのギア比を低くするためのパーツです。現行のジムニーJB64系、ジムニーJB23系、JA11系それぞれの型式に専用のトランスファーダウンギアがラインナップされています。

ギア比が低くなればなるほど大きなトルクを得ることができるため、様々な場面で恩恵を受けることが出来ます。

トランスファーダウンギアのギア比も数種類が存在し、トランスファー全体のギア比をダウンをするものもあれば、4Loのギア比を極端に落とすタイプもあります。

ジムニートランスファーダウンギア

画像:プロスタッフ

メリット

トランスファーダウンギアのメリットを感じられることができるジムニーは以下の2つのパターンです。

  • 大径タイヤ装着車
    • タイヤの外径を大きくするとギア比が高くなってしまい、タイヤ自体の重量もアップすることからトルク不足に陥ります。そこでトランスファーダウンギアを装着して適切なギア比に改善します。加速性能が良くなりエンストもしにくくなります。トランスファー全体のギア比を落としたタイプがおすすめです。
  • 難所系オフロード走行車
    • ノーマルギア比ならスピード任せでしか走れない難所でもギア比が低くなれば低回転でも大きなトルクでジワジワと確実に前に進むことができるようになります。クラッチへの負担も軽減されるのでトラブルも回避できます。4Loのギア比を極端に落としたタイプがおすすめです。

デメリット

まずデメリットに挙がるのがコスト面です。社外品のトランスファーダウンギアなら部品代&工賃を合わせると10万円~20万円ぐらいの費用がかかります。また専門的なパーツのため組付経験がないお店では作業を引き受けてくれない場合が多いでしょう。

トランスファーケース内部を削らないと装着できないタイプもある他、組み付け初期にはギア鳴りの症状が発生しやすく、こまめなオイル交換も必要となります。

もうひとつはギア比を下げ過ぎてしまうと、高速巡航おいてエンジンの頭打ちが早まってしまって快適性が犠牲になる場合もあります。ただこの部分についてはギア比選定を事前にしっかりしておけば避けられる問題ではあります。

その他に4Loのギア比を極端に落としたタイプは駆動力が高まると同時にドライブシャフトへの負担も大きくなるため、破損する確率が高まります。

走破性はどれだけ変わる?

トランスファーダウンギアによってどれぐらいジムニーの走破性が変わるのか想像出来ない方もいると思います。

APIOがジムニーJB23のノーマルトランスファー車とトランスファーダウンギア装着車の走行比較動画をアップしてくれています。

ノーマルトランスファー車はモーグルやヒルクライムでスピード任せでしか走れず、タイヤのグリップが引き出せていません。

対してトランスファーダウンギア装着車はゆっくりと前に進んでしっかり地面をグリップさせていることがわかります。

スピードに任せる必要がなくなればしっかりと走行ラインが狙える以外に車体へのダメージも軽減されます。

こちらのロック系ジムニーのように極端にギア比が低くすると歩くような速度で難所を走破していくことができます。

ロック系やハードクロカンではギア比が低いほど有利となりますが、トライアル競技ではギア比が低すぎると扱いづらい場面もあるため目的に応じたギア比選びが必要です。


装着する前に知っておこう

トランスファーダウンギアはジムニーの型式ごとに専用で開発されています。しかし、方法次第では異なる型式のジムニー用のトランスファーダウンギアを装着することも可能です。

社外品のトランスファーダウンギアは高価で手が出ないと思っている方でも低コストでギア比を落とす方法もありますので、まずこちらを読んでからどんなダウンギアを装着するか考えてみて下さい。

JA11には定番のSJ30トランスファー流用

社外品ほど強烈にギア比を落とすことはできませんが、SJ30トランスファーはJA11に流用できる純正トランスファーとして最もギア比が低くなる定番の組み合わせです。

ヤフオクなどでSJ30トランスファーは大体2~3万円ほどで手に入れることができるため、コスト面がネックとなっている方にはおすすめの方法です。

5型が変わり目のジムニーJB23

ジムニーJB23のトランスファーダウンギアを選ぶ前に自分のジムニーが4型以前 or 5型以降なのか知っておくことが必要です。

5型からトランスファーに変更が加えられており、1~4型に適合するトランスファーダウンギアと5型~10型に適合するトランスファーダウンギアは異なります。

簡単に見分ける方法はトランスファーの2駆⇔4駆切り替えがレバー式なら1型~4型。ボタン式なら5型~10型です。

JB23にJA11用トランスファーをスワップ

ジムニーJB23に社外トランスファーダウンギアを組みたいけど、理想のギア比が見つからない時にはJA11用トランスファーのスワップがおすすめです。

ジムニーJA11用の社外トランスファーダウンギアはラインナップが豊富にあり、特にロックや山遊びで4Loのギア比をとにかく落としたいなら検討する価値はあります。

ポン付けで流用はできませんが専用の移植キットも販売されています。

JB23 JA11トランスファー換装キット
JB23 JA11トランスファー換装キット

ショップ:プロスタッフ

タイヤ外径によるギア比の変化

大径タイヤを装着することによって(擬似的に)ギア比は変化します。ただ、タイヤ外径の変化によってどれぐらいギア比の変化があるのか簡単にはイメージできないと思います。

軽ジムニーの純正サイズ175/80R16(外径:686mm)を基準にギア比の変化を計算してみると以下のようになります。

  • 185/85R16(外径:721mm) ▷ 5%アップ
  • 225/75R16(外径:750mm) ▷ 9%アップ
  • 7.00R16(外径:782mm) ▷ 14%アップ

トランスファーダウンギア比較表

ジムニー用の社外トランスファーダウンギアを比較できるように表にしてみました。

大径タイヤを履いて普段使いのトルク不足に悩んでいるならHi側のダウン量をチェック。ロックやクロカンで走破性アップを狙うならLo側のダウン量をチェックして下さい。

ギア比の数値が大きいほどギア比が低くなっているので、純正のギア比と比べながら参考にしてみて下さい。

ジムニーJA11用

メーカー Hi側 Lo側
JA11ジムニー 純正 1.580 2.511
ZEAL
“タイプA”
1.630
(3%ダウン)
4.870
(93%ダウン)
ZEAL
“タイプB”
1.741
(10%ダウン)
6.139
(144%ダウン)
ZEAL
“タイプC”
1.654
(3%ダウン)
6.374
(153%ダウン)
インプス
ロックロブスター
1.580
(ダウンなし)
4.168
(66%ダウン)
モーターファーム
ロックリザード
1.580
(ダウンなし)
4.168
(66%ダウン)
津田レーシング
クローラーギアセット4.16:1
1.770
(12%ダウン)
4.621
(84%ダウン)
津田レーシング
クローラーギアセット4.90:1
1.833
(16%ダウン)
5.399
(115%ダウン)
津田レーシング
クローラーギアセット6.5:1
1.700
(7%ダウン)
6.500
(159%ダウン)
JCR
アドバンスギア
2.000
(26%ダウン)
7.900
(215%ダウン)
<参考>SJ30 純正 1.741
(3%ダウン)
3.052
(21%ダウン)

 

ジムニーJB23 純正 1型~4型用

メーカー Hi側 Lo側
ジムニーJB23 純正 1~4型 1.320 2.145
ZEAL
“~4型”
1.522
(15%ダウン)
2.473
(15%ダウン)
アピオ
58STAR
1.320
(ダウンなし)
3.390
(58%ダウン)
モーターファーム
ロックリザードオメガ
1.320
(ダウンなし)
3.400
(58%ダウン)
津田レーシング
プラネタリートランスファーダウンギア JB前期 プラネタリーのみ
1.320
(ダウンなし)
3.432
(60%ダウン)
津田レーシング
プラネタリートランスファーダウンギアセット
1.624
(24%ダウン)
3.946
(84%ダウン)

 

ジムニーJB23 純正 5型~10型用

メーカー Hi側 Lo側
ジムニーJB23 純正 5型~ 1.320 2.643
ZEAL 
“5型~ A”
1.522
(15%ダウン)
3.039
(15%ダウン)
ZEAL
“5型~ B”
1.320
(ダウンなし)
4.690
(77%ダウン)
ZEAL
“5型~ C”
1.522
(15%ダウン)
5.407
(104%ダウン)
トレイルギア
トランスファーダウンギアセット JB23/33/43電気式
1.545
(17%ダウン)
3.740
(41%ダウン)

 

ジムニーJB64用

メーカー Hi側 Lo側
ジムニーJB64 純正 1.320 2.643
ZEAL
JB64 A
1.522
(15%ダウン)
3.039
(15%ダウン)
ZEAL
JB64 B
1.320
(ダウンなし)
4.690
(77%ダウン)
ZEAL
JB64 C
1.522
(15%ダウン)
5.407
(104%ダウン)

必要性はどう判断したらいい?

今回はジムニーのギア比を変更をするパーツの代表格であるトランスファーダウンギアを紹介しました。

「大径タイヤ装着している」または「クロカンやロックを走る」のどちらかに該当しているジムニーなら装着する必要性があります。

もっとギア比を突き詰めていくとミッションやファイナルの組み合わせをよって様々なギア比をチョイスすることが出来ます。走るステージによってはダウンギアの最終手段とも言えるダブルミッション化、対して最高速度を上げるためにハイギア化する例もあります。

4×4エスポワールではトランスファーダウンギアの組み込み作業も対応可能です。お気軽にご相談下さい。

 


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