ジムニーのリフトアップカスタムに興味がある方、バンプストッパーの役割を理解していますか?ジムニーのバンプストッパーは地味な存在ですが、サスペンションセッティングや車体の保護において非常に重要です。
この記事では、ジムニーのバンプストッパーがどのように車体を守り、リフトアップ時にどのような役割を果たすのかを初心者にもわかりやすく解説します。バンプストッパーを理解することで、ジムニーの性能を最大限に引き出すことができるでしょう。
目次 |
バンプストッパーの役割
バンプストッパーはスプリングやショックアブソーバーに比べて存在が地味なので、どんな役割を持っているのかイメージがしづらいかもしれません。しかし、ジムニーには前後左右4輪すべてにバンプストッパーが配置されていることからもサスペンションにおいて重要なパーツです。どんな役割を持っているのでしょう?
底突き防止&車体への負担軽減
「バンプストッパー」と名前からわかる通り、フルバンプ状態(サスペンションが縮み切った状態)のストッパーとしての役割を持っています。
仮にバンプストッパーがない状態で、フルバンプするとショックアブソーバーが底突きし破損に繋がります。また、スプリングが縮み切るとバネ同士が接触する「線間密着」が起こり、スプリングとして機能しないだけでなく、へたりや塗装の剥がれが発生し、結果的にスプリングの寿命が短くなってしまいます。
さらに、フレームとホーシングがぶつかり合う場合には大きな衝撃とともに異音が発生する上に、フレームのクラックやホーシングが曲がってしまう可能性もあります。
バンプ規制:大径タイヤ装着時の干渉対策
ジムニーのリフトアップカスタムでは大径タイヤの装着は必須メニューです。同時に問題となるのがサスペンションが伸び縮みした際にタイヤハウス内にタイヤが干渉してしまうことです。
最悪の場合、タイヤがバーストしてしまったり、バンパーやフェンダーを巻き込んで車体側が破損する可能性もあります。また、干渉がひどくなるとタイヤが引っかかりブレーキがかかったような状態になる場合もあります。
このような場合に有効な対策方法がバンプストッパーによってストロークを制限することです。タイヤハウス内に干渉しないようにサスペンションの動きを規制することから「バンプ規制」と呼ばれます。
第3のサスペンション
サスペンションの基本的なセッティングはスプリングとショックアブソーバーで行います。それが最近はバンプストッパーを第3のサスペンションとして活用したセッティングも取り入れられています。
これはジムニーに限ったことではなく、メーカーレベルで取り入れられてるセッティング方法です。
バンプストッパーをただの“当てゴム”ではなく、ヘルパースプリングとして活用しようという事例も出てきている。たとえば日産キックスは、リヤのバンプストッパータッチを早めることで、加速時のスクォート(リヤサスの沈み込み)抑制に利用しているし、レクサスISはバンプストッパーのばね定数を低く設定し、旋回時にストッパータッチによるばね定数の急変を抑え、限界特性を穏やかにするという使いかたをしている。
参照:バンプストッパーの話——安藤眞の『テクノロジーのすべて』第65弾|Motor-FanTECH[モーターファンテック]
ジムニーの場合ではオフロード走行時の激しい衝撃を和らげるために、バンプストッパーを大容量化するセッティングがされる場合もあります。
リフトアップの車検対策(リーフ車)
ジムニーJA11などのリーフスプリング(板バネ)車のリフトアップでは車検に対応させるために構造変更が必要となる場合があります。
その際にバンプストッパーとフレームのクリアランスを「◯◯mm以下」と指定されることがあります。純正のバンプストッパーのままでは指定される数値に足りないため、バンプストッパーにブロックを挟むことで対策をします(下画像)。
バンプストッパーのセッティング
バンプストッパーは単なる衝撃を吸収するだけではなく、サスペンションのセッティングを左右する重要なパーツです。
バンプストッパーによってジムニーの足廻りにどのような変化をもたらすことができるのか、またそのセッティング方法について詳しく解説します。
バンプストッパーの大容量化
バンプストッパーは、当たった時点でストロークが止まるのではなく、当たって潰れていくことで硬度が増してそこでストロークが止まります。
容量の少ない純正バンプストッパーは、衝撃の吸収よりもショックアブソーバーの底突き防止を目的に設計されています(わかりやすくいうと当てゴム)。
衝撃の吸収を目的にするなら、バンプストッパーを大容量化する方法があります。ジムニーのバンプストッパーの大容量化を広めたショウワガレージが販売する「大容量バンプラバー」はノーマルと比べて65mm長く、容量は約5.8倍にもなります。
容量を増やすことで得られるメリットは、縮む量に余裕ができるので衝撃を吸収しやすくなることが挙げられます。また、反発が少なく、ソフトな部分を活かせられる点も特徴です。
長さの選定(バンプタッチするまでの距離)
バンプストッパーをどのように使うかでセッティング方法が大きく分かれる部分です。考え方については2つに分けられます。
①バンプタッチはフルバンプ付近でのみ行い、ストロークはスプリングをメインに行う ◎純正と同じスタンダードなセッティングです。バンプタッチするまではスプリングのみの一定レートなので、挙動を掴みやすい面があります。また、ストローク量を稼ぐことができます。 |
②ストローク初期からバンプタッチを行い、ヘルパースプリングとして活用する ◎積極的にバンプストッパーを活用するセッティングです。早い段階からバンプタッチさせておくことでスプリングレートの急激な変化をおさえ、トラクション性を向上します。 |
バンプストッパー本体による長さでバンプタッチまでの距離を調整する方法もありますが、バンプ延長ブロックといわれるパーツでバンプストッパーの取り付け位置をかさ増しすることができます。
また、社外製の長いバンプストッパーは当たり方によっては曲がったり反れたりしてしまうので、短くカットすることで変形を抑える場合もあります。
硬度の選定
先ほど紹介したショウワガレージの「大容量バンプラバー」は<ハード・ソフト・スーパーソフト>の3種類の硬度をラインナップしています。
用途に応じて硬度を変えることで、より理想的なセッティングに近づけることができます。ショウワガレージが推奨する硬度ごとの用途は次のようになります。
・ハード:バンプ規制
・ソフト:スピード競技等での衝撃吸収
・スーパーソフト:衝撃吸収に優れスピード競技等ではリア用におすすめ
形状の選定
ジムニー用のバンプストッパーの形状は主に「ストレートタイプ」と「8の字タイプ」の2種類に分けることができます。
コイルスプリング車のJB64やJB23にはストレートタイプが使用され、リーフスプリング車のJA11系には8の字タイプが使用されています。
ストレートタイプは大容量化すると全長が長くなり、バンプタッチ時の当たり方によっては変形しやすく、性能を十分に活かしきれない場合があります。それに対して8の字タイプは変形しにくく、安定した性能を発揮できる面があります。
こうしたバンプストッパーの特性を使い分けられるように、ストレートタイプから8の字タイプに変更するための専用ブラケットも販売されています。
増設
ダートなどのスピード系競技では何度も強い衝撃を受けるため、バンプストッパーの容量が足りずホーシングが曲がってしまうことがあります。この問題を解決するために有効なのが、バンプストッパーの増設です。
1つのバンプストッパーだけでは受け止めきれない衝撃に対して、バンプストッパーを増設しダブル化します。
これにより、容量を倍増できるので、大きな衝撃に対しても余裕を持たせることができます。
トラクションを発生させるセッティング
ジムニーに採用されているリジッドアクスル式サスペンションは、縮み側がバンプストッパーにタッチすることでテコの原理が働きます。
具体的には、縮み側のバンプストッパーが支点となり、伸び側のタイヤに地面を押さえつける力が働くので、安定したトラクションを発生させることができます。
このセッティング方法は、特にサスペンションがフルストロークする場面が多いトライアルやクロカンで効果を発揮します。
バンプストッパーは足廻りの重要パーツ
ジムニーのバンプストッパーについて詳しく解説しました。バンプストッパーは、リフトアップカスタムにおいて地味ながら重要な役割を果たしています。主な役割は、底突きを防止し、車体への負担を軽減することです。また、大径タイヤ装着時の干渉対策や、オフロード走行時の衝撃吸収など、さまざまなシーンで効果を発揮します。
さらに、バンプストッパーは「第3のサスペンション」としても活用され、サスペンションセッティングの一部として重要な役割を担っています。リフトアップ車の車検対策や、用途に応じた硬度の選定、形状による性能の違いについても触れました。この記事を通じて、バンプストッパーの重要性を理解し、ジムニーカスタムに役立ててみてください。
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