車高を上げるリフトアップはジムニーの王道カスタムであることはご存知の方も多いと思いますが、リフトアップすることによって各部の補正が必要になることはご存知でしょうか?
代表される補正ポイントがキャスター角です。ジムニーの車高を上げるとキャスター角が狂ってしまいハンドリングに悪影響を及ぼします。
今回はジムニーのキャスター角の補正について紹介していきます。
目次 |
キャスター角とは?
ハンドリングや直進安定性に深く関係している前輪のアライメントの1種です。
キャスター角がイメージできるわかりやすい例を挙げると自転車やバイクの前輪です。前輪を支えるフロントフォークの角度が水平に近いほど直進安定性が高く、逆にフロントフォークの角度が垂直に近いほど直進安定性が低下します。
クルマの場合はフロントフォークがないのでイメージしにくいかもしれませんが、キャスター角はハンドリングや直進安定性の方向性を決まる重要な役割を果たしています。
★キャスター角について詳しくはキャスター角の効果/小学生でも分かるホイールアライメントの話がとても参考になります。
画像:世界一有名なチョッパーを作ったのは○○だった!? | バイクを楽しむショートニュースメディア forRide(フォーライド)
リフトアップ車のキャスター角
ジムニーではリフトアップするとキャスター角が垂直方向に変化します。
車高を上げるほどその変化量は大きくなります。
あくまでも目安になりますが2インチアップ(50mm)したジムニーのキャスター角は約5°の変化が発生します。
リフトアップ車のキャスター角にはどんな変化が起こるのかわかるように下に図を作ってみました。
補正が必要となるリフトアップ量
厳密には1cm車高を上げただけでもキャスター角は変化します。とはいえ体感できるほどの違いや弊害はほとんど感じられません。
基準としては2インチ(約50mm)アップを超えるジムニーの車高を上げているならキャスター角の補正が必要だと判断してもらっていいと思います。
ここで微妙な判断となるのが1インチアップ程度のチョイ上げリフトアップです。
キャスター角の補正が必要な状態であるのは間違いありませんが、補正したところで体感できるほどの違いがわかりづらく100%必要であるとは言い切れないのが難しいところです。
キャスター角を補正しないことによる弊害
キャスター角を補正していないリフトアップしたジムニーは正常なキャスター角ではないため弊害が発生します。
特にリフトアップ量が高くなるほど、その弊害は大きくなります。具体的にいったいどんな弊害があるのでしょう。
直進安定性の低下
キャスター角が直進安定性に関して重要な役割を果たしていることは冒頭でも説明した通りです。
特に顕著に直進安定性の低下を感じられるのは高速走行時です。ハンドリングがクイックとなりフラつきやすく微妙なステアリングの修正が必要なります。速度域によっては両手でしっかりハンドルを握っておかないと怖さを感じるレベルです。
その他にもハンドルを少し切っただけでも舵角が当たりやすくなるため、総じて高速域で苦痛に感じる場面が多くなります。
ハンドルの戻りが悪い・ハンドルが取られやすい
高速域だけでなく低中速域でもキャスター角の弊害があります。
意外かもしれませんがハンドルの戻りが悪くなることもキャスター角の異常が関係しています。交差点を曲がった後などに勝手にハンドルが元に戻ってくれるのも実はキャスター角のおかげなのです。
轍にハンドルを取られてしまったり、路面のギャップを拾いやすくなるのもキャスター角が関係しており、ジムニーの持病と言われるジャダー症状の原因になることもあります。
コイルスプリングが弓なりに
ハンドリングや直進安定性だけでなくキャスター角の弊害は関連部品にも影響を及ぼします。
ジムニーJB23系やJB64/74はリフトアップによってコイルスプリングの台座部分に傾きが発生し、コイルスプリングが弓なり状態となってしまうのです
弓なりになると起こる弊害としては2つあり、1つはコイルスプリングが真っすぐ縮むことができなくなるため本来のスプリングの性能が発揮できず乗り心地の悪化へと繋がってしまうこと。
もう1つはコイルスプリングが車体に干渉してしまう可能性があることです。
キャスター角の補正方法
ここまででキャスター角を補正しないことによる弊害はおわかりいただけたと思います。
次に知ってもらいたいのはリフトアップしたジムニーのキャスター角の補正方法です。主に3種類の方法が存在しそれぞれにメリット・デメリットがあります。
偏芯ブッシュ・キャスターブッシュ
もっとも低価格にキャスター角を補正する方法が偏芯ブッシュ(キャスターブッシュ)です。他にキャスタードリームやキャスターコレクターといった呼び方もありますが基本的な目的は同じです。
純正アームのブッシュの穴位置を偏芯(中心からズラす)させることでキャスター角を補正します。
デメリットとして目立つのは交換作業の難しさです。打ち替えには油圧プレスで圧入することが必要なほか、穴位置を合わせるための専用治具も必要となり工賃を考えるとそれなりの金額となってしまう面もあります。
●先代ジムニー
JB23系用 キャスターブッシュ
●現行ジムニー
JB64/74用 偏芯ブッシュ
リーディングアームダウンブラケット
偏芯ブッシュよりも価格は高いものの油圧プレスも不要で、比較的簡単に交換できるのがリーディングアームダウンブラケットです。
純正アームのフレーム側の取付位置(ピボット側)を下げることでキャスター角を補正します。
信頼性がある純正ブッシュにこだわりたい人にも人気がある補正方法です。
デメリットとなるのはオフロード走行時です。取付位置が下がることによって腹下のクリアランスが少なくなり高低差の激しいオフロードでは引っかかってしまう原因になります。
4×4エスポワールが取り扱うリーディングアームダウンブラケットは、JB23用とJB64/74用ともにダウン量が50mmなので2インチアップ前後の車両にお使いいただけます。
●先代ジムニー
JB23系用 リーディングアームダウンブラケット
●現行ジムニー
JB64/74用 リーディングアームダウンブラケット
補正済みリーディングアーム
予算が許すなら補正済みリーディングアームがおすすめです。アーム自体でジムニーのキャスター角を補正します。
補正済みリーディングアームは純正アームよりも強度がありオフロード走行時に破損する可能性が低くなります。そして足回りに赤色のリーディングアームがチラリと見えることによるドレスアップ効果もあります。
さらに補正済みリーディングアームの中にはキャスター角の補正だけでなく、ロングタイプのものや長さが調整できる調整式リーディングアームも存在し大径タイヤ装着車の干渉対策としても有効です。
良いことずくめな補正済みリーディングアームですが、ネックとなるのは価格面です。前後とも交換した場合は10万円近い費用が必要となり、足回り関連のパーツとしては高額です。
●先代ジムニー
JB23系用 強化アーム 2~4インチ用(フロント/リア)
JB23系用 強化リーディングアーム 15mmロング 2~4インチ用
●現行ジムニー
JB64/74用 強化アーム 2~4インチ用(フロント/リア)
JB64/74用 強化リーディングアーム 15mmロング 2~4インチ用
【豆知識】大径タイヤも補正の効果がある
すでにリフトアップ済みのジムニーに乗っていてキャスター角の補正はしていないけど「異常は感じない」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
もしかするとそのジムニーに大径タイヤを履かせていませんか?実は大径タイヤを装着することでもキャスター角補正と同等の効果があるのです。
その理由は「キャスタートレイル量が増加すること」と「ジャイロ効果が強まるから」です。
まずキャスタートレイル量についてはキャスター角と深い関係にあるもので、角度ではなく長さを基準とします。大径タイヤによってキャスタートレイル量(長さ)が増加することで直進安定性が向上します(以下図参照)。
そして、ジャイロ効果に関してはタイヤが大径になるほど遠心力が強く加わることから直進安定性が高まる効果があります。
快適なリフトアップカスタムを目指して!
今回のキャスター角の補正について、ジムニーのリフトアップ車には必要なものであるとおわかりいただけたと思います。
リフトアップしたジムニーで快適に走るためにはキャスター角の補正はしっかり行っておきましょう。
4×4エスポワールではジムニーのリフトアップを得意としています。自社オリジナルのサスペンションのラインナップを豊富に取り揃えておりますので予算に応じたご提案が出来ます。お悩みの方はお気軽にご相談下さい!
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